リップクリームがスースーするのはなぜ?成分の性質や使い分け方

毎日使うリップクリーム。
「塗ったときにスースーするのはなぜなのか?」と、ふと不思議に思ったことはありませんか?
乾燥した唇のケアをしていると、定番の「メンソレータム」や「メンターム」の違いが気になったり、スースーしない無香料のリップとどちらが良いのか迷うこともありますよね。
また、「塗りすぎは逆効果になって依存してしまう」「スースーする成分の仕組みであるTRPM8って何?」など、リップケアに関する疑問やウワサを耳にして、詳しく知りたい方もいるかもしれません。
中には、塗ったあとにヒリヒリと痛いと感じたり、「唇が荒れる原因がアレルギーではないか?」と不安に思ったりする方もいると思います。
この記事では、私自身の経験も交えながら、そんなリップクリームの清涼感に関する疑問について詳しく、そして分かりやすく解説していきますね。
- リップクリームで冷たさを感じる成分とその仕組み
- メンソレータムとメンタームの成分や使用感の違い
- ヒリヒリとした痛みを感じたときの判断基準と注意点
- 唇の荒れを防ぐための正しい塗り方と適正な使用回数
リップクリームがスースーするのはなぜか解説
リップクリームを塗った瞬間に感じる、あの独特の爽快感。
実はこれ、単純に「冷たい成分が入っているから」というわけではないんです。
どのような仕組みで起きているのか、清涼感を生み出す成分の秘密や、人間の体が冷たさを感じる不思議なメカニズムについて、分かりやすく解説していきますね。
メントールの冷感成分と仕組み
リップクリーム特有の爽快感を生み出している主役は、主にハッカ(ミント)などの植物から抽出されるl-メントールという成分です。
この成分には強力な冷感作用があり、塗った瞬間にスーッとした心地よさを与えてくれます。
唇の温度は本当に下がっているの?
実は、l-メントールを塗っても、唇の実際の温度が下がっているわけではありません。
成分による化学的な刺激によって、まるで氷に触れたかのような「冷たい」という感覚を人工的に作り出しているんですね。
さらに、メントールには軽いかゆみ止めの作用や殺菌作用もあるため、薬用リップクリームの有効成分としても大活躍しています。
スーッとするだけでなく、唇を清潔に保つ役割も果たしてくれているのは嬉しいポイントかなと思います。
TRPM8受容体による脳の反応
では、なぜ温度が下がっていないのに「冷たい」と感じるのでしょうか。
その秘密は、私たちの神経にあるTRPM8(トリップ・エムエイト)という、温度を感じ取るセンサー(受容体)に隠されています。
TRPM8の働きとは?
通常、このセンサーは25〜28℃以下の涼しい環境になると反応し、脳に対して「冷たいですよ!」というサインを送ります。
(出典:自然科学研究機構 生理学研究所『TRPM8 (Transient Receptor Potential Melastatin 8)』)
メントールが唇に触れると、このTRPM8にピタッと結合して、センサーの感度を一時的にバグらせてしまいます。
その結果、周りが常温であってもセンサーが過敏に反応してしまい、脳が「すごく冷たい!」と勘違いするんですね。
これが「スースーする」という感覚の正体です。
人間の体って本当に不思議ですよね。
メンソレータムとメンタームの違い
スースーするリップの代表格といえば、緑のパッケージでおなじみの「メンソレータム」と「メンターム」ですね。
ドラッグストアに並んでいるのを見て、「パッケージが似ているけど、何が違うの?」と思ったことはありませんか。
実は、もともとは同じアメリカの製品を、近江兄弟社という会社が日本で販売していました。
しかし、歴史的な経緯で販売権がロート製薬に移り、その後、再建した近江兄弟社が自社の技術で独自に作り直したのが「メンターム」なんです。
まるでドラマのような歴史があるんですね。
| 比較項目 | メンソレータム(ロート製薬) | メンターム(近江兄弟社) |
|---|---|---|
| ベースの成分 | 主に黄色ワセリン | 精製度の高い白色ワセリンも併用 |
| 質感と塗り心地 | やや硬めで、唇への密着度が高い | やわらかく、軽い力でスッと伸びる |
| トレードマーク | リトルナース(看護師の女の子) | メンターム・キッド(インディアンの男の子) |
| 価格帯の目安 | 少し高め(比較的) | お手頃価格で購入しやすい |
どちらも清涼成分はしっかり入っていますが、風が強い日などしっかり保護したいときは密着力の高い「メンソレータム」、普段使いで優しく塗り広げたいときは「メンターム」といったように、好みに合わせた選び方ができるかもしれませんね。
(出典:メンソレータムとメンターム 100年以上の歴史を持つ塗り薬のお話|EPARKくすりの窓口)
薬用と医薬品など分類による違い
ひとくちにリップクリームと言っても、日本の法律によって大きく3つに分類されています。
自分の唇の状態に合わせて使い分けることが、美唇への第一歩です。
1. 医薬品(第3類医薬品など)
唇の荒れやひび割れの「治療」が明確な目的です。
荒れがひどい時は、メントールの刺激すら痛く感じることがあるため、刺激を抑える目的でスースーする成分が入っていない製品も多くあります。
2. 医薬部外品(薬用)
日常的な荒れや乾燥の「予防」が目的です。
「メンソレータム」や「メンターム」の多くはここに含まれます。
メントールなどの清涼成分が有効成分として認められており、殺菌や血行促進の効果が期待できます。
3. 化粧品
唇への保湿やつやを与えること、つまり「美容」が主な目的です。
こちらにも清涼成分が含まれることがありますが、あくまで使用感の演出(リフレッシュ目的)として配合されています。
カンフルやユーカリ油の配合目的
スースー感を生み出しているのは、実はメントールだけではありません。
パッケージの成分表を見ると、よく一緒に配合されているdl-カンフルとユーカリ油(シネオール)も、非常に重要な役割を持っています。
温感と冷感の絶妙なハーモニー
カンフルはクスノキから得られる成分で、血行を良くする働きがあります。
面白いことに、カンフルは冷たさを感じるTRPM8だけでなく、温かさを感じる別のセンサー(TRPV1やTRPV3など)も同時に刺激します。
そのため、ただ冷たいだけでなく、「ピリッとした温感や薬効感」をプラスしてくれます。
これが、あのクセになる塗り心地の秘密なんですね。
一方、ユーカリ油は外の気温に左右されず、スースー感を長持ちさせるサポート役をしてくれています。
これらの成分が絶妙にブレンドされることで、あの独特の香りと使用感が生まれています。
ヒリヒリ痛いと感じる時の判断基準
リップクリームを塗ったときに、「スースー」を通り越して「ヒリヒリ痛い!」と感じたことはありませんか?
それは、唇からのSOSサインかもしれません。
唇は普通の皮膚に比べて角質層が3分の1ほどしかなく、汗腺や皮脂腺もないため、バリア機能がとても弱いデリケートな場所です。
健康な状態なら心地よい清涼感でも、乾燥や荒れが進行して細かいひび割れができていると、メントールなどの成分が傷口から奥までダイレクトに染み込んでしまい、強い痛みとして感じてしまいます。
塗って痛いときは無理に使わず、直ちに使用をストップするのが安全ですね。
リップクリームがスースーするのはなぜか注意点
スースーするリップクリームは、気分転換にもなってとても気持ちが良いですが、使い方や唇の状態によっては注意が必要な場合もあります。
ここでは、トラブルを防いで安全に使うためのポイントや、正しいリップケアの方法についてお伝えしますね。
唇の荒れを招く成分刺激とアレルギー
良かれと思って塗っているリップクリームが、実は唇の荒れを悪化させているケースがあります。
刺激による乾燥と接触皮膚炎のリスク
メントールやカンフルは揮発しやすい(空気中に蒸発しやすい)性質を持っています。
そのため、成分が唇から蒸発するときに、唇本来の微量の水分まで一緒に奪ってしまい、かえって乾燥を招くことがあるんです。
また、これらの清涼成分そのものが物理的な刺激となり、デリケートな唇に慢性的な炎症を起こすことも考えられます。
すでに荒れている状態で使い続けると、バリア機能が低下した部分から成分が深く浸透してしまい、アレルギー性接触皮膚炎(いわゆるかぶれ)を引き起こす可能性もあるため、十分な注意が必要です。
塗りすぎによる依存状態のリスク
「リップクリームを塗っても塗っても、すぐに乾燥する気がする…」と感じて、1日に何十回もリップクリームを塗り直していませんか?
実はこれ、気づかないうちにリップクリーム依存症に陥っているかもしれません。
自活力を奪ってしまう悪循環
スースーする刺激を「潤っている証拠」と勘違いして頻繁に塗り直していると、唇が「外から油分がもらえるから、自分で皮脂を出して潤わなくてもいいや」と、本来の保湿機能をサボり始めてしまいます。
完全に外からの油分に頼り切る状態になってしまい、リップクリームが片時も手放せなくなる悪循環に陥ってしまうんですね。
私も過去に経験がありますが、常にポケットにリップがないと不安になる状態は要注意です。
摩擦を減らす正しい塗り方と頻度
リップクリームの効果を最大限に引き出し、同時に唇を守るためには、成分だけでなく「塗り方」がとても重要になります。
縦塗りの実践
唇のシワをよく見てみてください。
縦方向に入っていますよね。
つまり、横にゴシゴシと擦るように塗るのはNGです。
摩擦でダメージを与えてしまいます。
シワの溝に成分を届けるイメージで、「縦向き」に優しくポンポンと馴染ませるのが大正解です。
また、健康な状態であっても、リップクリームの使用回数は1日3〜5回が上限という数値データが一般的な目安とされています。
洗顔後や毎回の食後、寝る前など、タイミングをあらかじめ決めて塗るようにして、無意識に何度も塗り直すクセを見直してみるのも良いかなと思います。
冬場など、気温が低くてスティックが硬くなっている時は、手のひらやポケットの中で少し温めてから塗ると、唇への摩擦をグッと減らせますよ。
(出典:リップクリームの塗りすぎで唇が悪化?正しいケア方法と原因を解説|アイシークリニック)
症状に応じた低刺激な製品の選び方
唇の状態は、季節や体調によって日々変化します。
その時の状態に合わせて、使うリップクリームを見直すことも、美しい唇を保つ秘訣です。
- 健康な時・予防したい時:
薬用リップや化粧品リップがおすすめ。スースーするメントール入りでも問題ありません。日中ならUVカット効果があるものも良いですね。 - 少し荒れてきた時・カサつく時:
清涼成分は刺激になる可能性があるので一旦お休みしましょう。無香料・低刺激で、ワセリンやセラミドなどが主体となっている高保湿タイプにチェンジします。 - ひどい荒れ・割れて血が出ている時:
余計な添加物の少ない「白色ワセリン」のみで優しく保護するか、ドラッグストアで買える「第3類医薬品」に分類された治療用リップ(アラントインなどの修復成分入り)を選びましょう。
リップクリームがスースーするのはなぜかまとめ
リップクリームがスースーする秘密、いかがでしたでしょうか。
メントールやカンフルといった成分が、私たちの神経にある温度センサー(TRPM8)を直接刺激し、脳に「冷たい」と錯覚させているという、少し驚きのメカニズムでしたね。
この爽快感は、気分をリフレッシュさせたり、血行を促進したりするのに役立つ一方で、デリケートな唇にとっては、時として過度な刺激になり得ることも忘れてはいけません。
安全にリップケアを楽しむために
記事でご紹介した「リップクリームの適正な使用回数」などは、あくまで一般的な目安となります。
もし「縦塗り」を実践したり、低刺激なものに変えたりしてケアを工夫しても、2週間以上症状が改善しない場合や、ひび割れて強い痛みがある場合は、無理にセルフケアを続けず、皮膚科などの専門医にご相談されることを強く推奨します。
また、正確な成分や製品情報については、各メーカーの公式サイトも併せてご確認くださいね。
唇の不思議な仕組みと、リップクリームがスースーする本当の理由を正しく理解して、その時の自分にぴったり合った、無理のないリップケアを続けていきましょうね。
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